2:00 pm - 5:00 pm
首都圏8館共同制作 コンスタン・リフシッツ ベートーヴェンへの旅|Vol.3 横浜・青葉台 「熱情」
佐世保市民会館
〒857-0024
長崎県 佐世保市 花園町10-19
この場所で開催されるその他の公演
ベートーヴェン生誕250周年記念
”とてつもない天才”と旅するベートーヴェンの音楽世界
2020年、ベートーヴェン生誕250年のアニバーサリー・イヤーに、樫本大進から絶大な信頼を受ける、注目のピアニスト、コンスタンチン・リフシッツが横須賀、横浜(2館)、狛江、武蔵野、上野、所沢、そして川越の首都圏8館共同制作でピアノ・ソナタ全32曲演奏会を行います。
2020年のGWは「ベートーヴェンの旅」に出掛けませんか!
ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第1番、第13番 / 第25番、第23番「熱情」
神韻縹渺たるリフシッツのベートーヴェン
これほど胸がときめくプロジェクトが有るだろうか。
以前からリフシッツは折りに触れ、日本でベートーヴェンのピアノ・ソナタを演奏してきた。2004年の第12番、第27番、第29番「ハンマークラヴィーア」を皮切りに、第15番「田園」や第21番「ワルトシュタイン」、2013年には最後期の3曲、そして2017年にも第32番などを採り上げている。
かつてリフシッツ自身、ベートーヴェンのソナタには格別な想いがあり、一年に一曲ずつ取り組み、じっくり対峙、研究し、世界の舞台に乗せると語っていた。作曲順というわけではないが、ベートーヴェンの人生を俯瞰するように時間をかけて辿っているとも重ねた。一方で前述の第29番は、あるピアニストの代役だった。それまで人前で第29番を弾いたことがなかったリフシッツは、本番までの一週間、連日明け方まで練習に打ち込み、さらに直前には小さなホールでのトライアルまで及んだ。そもそもベートーヴェンの後期ソナタは、耳の障害のために頭の中だけで構築しており、実際の演奏では困難を伴う。けれどもリフシッツの演奏は、特有の研ぎ澄まされたクリアな音色、千変万化と移ろう色彩、馥郁たる香りとみずみずしい詩情を携えて悠揚胸に迫ってくるのだ。そのスケールたるや壮大で、完璧にコントロールされたピアニズムはベートーヴェンに真正面から向き合い、難解なフーガでさえ、複雑に絡み合ったファクターを鮮やかに解きほぐしてくれたのである。
それは2017年の第29番と「ディアベリ変奏曲」の折も変わらず、いや、それどころか2004年を遥かに凌駕するクオリティに、心底驚かされたものだ。”男子3日会わざれば乱目せよ”というが、リフシッツの深化はいかばかりだろう。今回はベートーヴェンの全32曲を首都圏8箇所に分けてのコンサート。樫本大進とのヴァイオリン・ソナタ全曲や、昨年の東京・春・祭等でのJ.S.バッハで神韻縹渺たる境地に到達したリフシッツがどのような解釈を示してくれるのか、これはまさにセンセーションであり、2020年4月5月が待ちきれない。
真嶋雄大(音楽評論)─ チラシより引用